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旅立ちの春。エスケープハッチ、北海道へ

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通算成績、83戦54勝。
地方競馬歴代最多勝利記録を刻んだアラブの名馬・エスケープハッチが、明日の夕方、北海道に旅立ちます。

エスケープハッチの会の支援により、北海道で第2の馬生を送ることになったハッチ。
元旦には引退式が行われ、スタンドからあたたかい声援が送られました。
しかし・・・。
ハッチの余生を支える会員さんが思うように集まらず、一時は北海道に渡ることが危ぶまれてしまったのです。

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ハッチを管理する田中譲二調教師の息子さんが、こう言って苦笑していました。
「なかなか会員さんが集まらないみたいなんです。それで親父が、『じゃあ、俺が厩舎で飼う』って言い出して」
ハッチのことが大好きな譲二先生なら、本当に飼いかねません。
だけど少人数で厩舎を切り盛りしているのだから、引退した馬を馬房に置いておくことは、かなりの負担になるんじゃないかな・・・。
私はそんなことを思いながら動向を案じることしかできず、おのれの無力さを痛感するばかりでした。

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現在、高知競馬場の受付前に、会員募集のビラが置かれています。
そのビラには、こんな一節があります。
<今はまだハッチが十分な余生を送れるほど会員さんが集まっていません>
そんな厳しい状況でありながら、エスケープハッチの会の発起人・佐々木幸子さんや、新聞やフリーペーパーに掲載された記事を読んで会員になることを決意した方々の優しさによって、ハッチの旅立ちが決まりました。

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今日の午後、田中譲二厩舎を訪ねました。
隣の馬房にいるマリスブラッシュと競い合うように、譲二先生が育てた青草を食むハッチ。
しきりに甘えてくるハッチにキスをしながら、「明日でお別れやねー、寂しくなるねー」と語りかける譲二先生。
「ハッチは自分のことを、馬だと思ってないみたい。人間だと思っちゅうみたい」と、譲二先生は言います。
馬のことは怖がるのに、人間のことは大好き。
誰かが厩舎にやってくると、瞳をきらきらさせて馬房から顔を覗かせます。
今日も取材のテレビカメラを、興味津々の表情で見詰めていました。
テレビ局の方も、ハッチの警戒心のなさに驚きながら、「女の子みたいですね。めっちゃかわいい馬ですね!」と、メロメロになっていました。

「ハッチは本当に甘えん坊で人懐っこいから、北海道でも可愛がってもらえるんじゃないかな」
譲二先生はそう言って、嬉しそうに、愛しそうに、寂しそうに微笑みました。

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さよならハッチ。
北海道でも元気でね!

エスケープハッチの会
エスケープハッチの会公式ブログ

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